構造デザイン発表会


構造デザイン発表会の資料
 
 
 
 
 
 
 

形態が社会を刺激する
某構造設計事務所増築工事

 
1.建築概要
 本建物は、愛知県岡崎市の県道39号線(通称モダン通り)沿いに建つ某構造設計事務所の横に増築された事務所である。構造設計事務所として、コンペ当初からインパクトのある構造デザインをテーマに多くの案が出された。
最終的に曲面を有するガラス張りとすることで、美しいシンボリックな外観を実現した。また、内部からも鉄骨の存在感を感じられる面白みのある空間を創り上げることが出来た。


2.既設
 2004年に竣工した某構造設計事務所の既設棟は、ガラスファザードのコンクリート打放しとしてモダン通り沿いに建設された鉄筋コンクリート造3階建ての事務所である。
ボイドラーメン構造を採用し、広々とした内部空間を実現した。一風変わった建物として、モダン通り沿いの街並みに強烈な印象を与えた。

3.社内コンペ
 増築棟を設計するにあたって、「将来、国内有数の構造設計事務所となる通過点としての増築」という設計主旨で社内コンペを行い、延べ14案が提出された。
設計条件は、1.準工業地域、建蔽率60%、容積率200%、2.構造種別・階数共に自由、3.シンボリックな外観、4.20名収容の事務室、会議室、トイレ、給湯スペース、屋上への階段を設ける、5.各階で既設棟と行き来できるようにするという5点である。
 当選案は、既設棟がコンクリート打放しで街並みに影響を与え、増築棟が曲面の形態でモダン通りの雰囲気を変えていくという設計主旨の下、曲面のガラス壁を提案し、鉄骨造により広いスペースを確保しつつ、日差しの差し込む気持ちの良い空間となっており、すっきりとしたデザインとするために壁面ブレースのターンバックルをなくすという工夫がされている。



写真1 建物代外観


写真2 建物内観



 
図1 社内コンペ当選案

4.構造計画
 余裕のある内部空間の確保を目的として鉄骨造架構を採用した。架構形式は、長辺方向がブレース+ラーメン構造、短辺方向が曲線柱のラーメン構造である。基礎形式は独立フーチング基礎である。
 柱はBH-150x150x12x12を使用し、緩やかに曲げることで、北面の曲線を鉄骨表しで表現させている。梁は、BH-250x150x9x9を使用し、柱の曲線に合わせてフランジ位置を調節している。また、柱は曲線となっているため、長期で柱脚に曲げが発生することを考慮して設計している。
 鉄骨の美しいプロポーションを前面に押し出したファサードを実現させるために、壁面ブレースのターンバックルを無くし、仕口部を全て現場溶接とする、外壁に面する大梁継手部のフランジを現場溶接とする等の工夫を行っている。
 室内においても鉄骨の美しいプロポーションを前面に押し出すために、天井を張らず、大梁・小梁をむき出しにしている。また、天井を張らないことで、開放感を出し、鉄骨曲面のガラス壁によって、事務所の奥まで明るさを確保しており、快適な内部空間を作り上げている。



写真3 建物外観
 
(a)仕口・継手部     (b)壁面ブレース
図2 鉄骨部材の取合い

写真4 鉄骨建方
 
 
写真5 大梁継手部フランジ現場溶接

 
写真6 壁面ブレース仕口部現場溶接
  作品概要
  鉄骨造 地上3階 高さ:9.77m
  建築面積:212.97u 延床面積:611.04u 用途:事務所
  所在地:愛知県岡崎市井田町1-8-1 竣工:2017年2月28日
  設計者:都市企画株式会社 アトリエHOMMA
  構造設計者:盛本構造設計事務所
  設備設計者:都市企画株式会社 アトリエHOMMA
  施工会社:鶴田工務店